驚異の成分 レスベラトロール
レスベラトロールとはポリフェノールの一種で、「長寿遺伝子」と呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化させる働きがあるということで注目されている成分です。レスベラトロールが直接サーチュイン遺伝子に働きかけるかどうかは議論がなされている最中ですが、抗ガン作用や脳の活性化などがあると考えられており、『長寿成分』として話題になっています。
レスベラトロール注目のはじまりは
「フレンチパラドックス」
「ポリフェノールが健康に良い」ということで話題になったのは1990年代の後半。チョコレートや緑茶、玉ねぎ、大豆など様々な食品に含まれているその成分が、実は健康増進に良い効果があるとわかり注目を集め始めます。その中でも赤ワインのポリフェノールは特に体に良いということで大きな話題となり、日本は空前のワインブームに突入することになりました。国を巻き込んだムーブメントを起こした赤ワイン。その健康への好影響に大きく関係していると言われているのが「レスベラトロール」なのです。
では、なぜ赤ワインのポリフェノール、そしてレスベラトロールが注目を集めるようになったのでしょうか。それは、フランス人の食生活と健康の関係性でした。
ご存じの通り、フランス人は脂肪分の多い高カロリーな食事をたくさん食べています。特に一人当たりの肉消費量は世界でもトップクラス。「動物性脂肪を多く接種する食生活が長く続くことで心筋梗塞のリスクが高まる」というのが一般的なのですが、フランスでは他のヨーロッパ諸国と比べて心臓病での死亡率が低く、そのことは「フレンチパラドックス」と呼ばれています。「このフレンチパラドックスの大きな要因として考えられたのが赤ワインでした。もともと1939年に発見されていたレスベラトロールが赤ワインにも含まれているということが判明したのが1992年。赤ワインの健康に与える良い影響が注目されると共に、レスベラトロールにも注目が集まっていったのです。
レスベラトロールと長寿の関係
レスベラトロールは強い抗酸化作用を持つ成分「ポリフェノール」の一種で、最初はその抗酸化作用が注目されていました。レスベラトロールを継続的に摂取することで、活性酸素を除去する『抗酸化酵素SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)』を体内で生成することが確認されています。活性酸素は体に必要なものではあるのですが、過剰に生成された活性酸素は細胞を傷つけてしまい、それが老化に繋がってしまうと言われています。抗酸化作用のある成分は活性酸素を除去して老化を遅らせることができるため長寿成分と呼ばれるのです。
しかし、レスベラトロールが注目されているのは抗酸化作用のせいだけではありません。「レスベラトロールは長寿遺伝子と呼ばれる『サーチュイン遺伝子』の活性に関与していると考えられているので、他のポリフェノールよりも長寿成分としての注目度は高いのです。
サーチュイン遺伝子が活性化すると、体内の細胞が若返り、様々な健康への好影響が生まれます。しかし、サーチュイン遺伝子は体が飢餓や極限状態を感じているときにしか活性化せず、通常は眠っているのです。この眠ったサーチュイン遺伝子を活性化させるためにはカロリー制限をしたり体を適度に動かしたりして肉体を追い込む必要があります。現代の人間が通常の生活を続けていると、サーチュイン遺伝子は眠ったままなのです。しかし、「レスベラトロールはサーチュイン遺伝子を活性化させるスイッチとしての働きがあるという論文が発表されたことにより、長寿成分として大注目されるに至りました。
現在は研究が進み、レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を直接活性化させているかどうかについてはさらなる議論がなされています。「レスベラトロールはサーチュイン遺伝子を直接活性化させない」という説もありますが、「直接ではないにしろ活性化に関わってはいる」という考えも根強く、この先の研究に注目が集まっています。
レスベラトロールはこうして生まれる
強い抗酸化作用やサーチュイン遺伝子との関係で「長寿成分」のひとつと考えられるようになったレスベラトロールですが、その強さの原因はレスベラトロールが生成される環境にあります。
レスベラトロールは、ほんの一部の植物が持つ『スチルベン合成酵素(STS)』という酵素によって作られます。この酵素は自然環境の強い刺激から植物が身を守るために働く酵素です。この酵素を持つ植物が強い紫外線や細菌感染などで生命の危機になったとき、延命のために作られているのがレスベラトロールになります。もともとの成り立ちがこういうことですから、レスベラトロールによって健康に好影響がもたらされたとしてもおかしなことではありません。実際に、レスベラトロールに関する様々な研究で抗老化作用へのポジティブな影響が発表されていますから、人体をより健やかな状態に導いてくれる成分として期待が高まるのも当然といえるでしょう。
レスベラトロールの作用と摂取量
現在関与しているといわれているレスベラトロールの作用は、寿命延命のほかに【ガン予防】・【認知症予防】・ 【心臓病予防】・【抗メタボリック】・【眼病予防】・【痛風抑制】・【美肌効果】等です。
ガン予防や脳の活性化、心臓病予防についてはレスベラトロールが注目されたきっかけでもあり、現在でも引き続き研究されているテーマです。また、抗メタボリックに関しては2004年に雑誌ネイチャーに「レスベラトロールによる脂肪蓄積の減少、遊離脂肪酸の放出」をテーマとした論文が、眼病予防に関しては2007年の旭川大学での研究結果が発表されています。
美肌効果は同じポリフェノールの一種である「イソフラボン」が関与しているのではないかと考えられているのは有名ですが、レスベラトロールもイソフラボン同様女性ホルモン様作用があるという報告もあり、「イソフラボンと同様の美肌効果が期待できるのではないか、いうことでも今注目されています。
今後の研究によっては、さらなる健康への好影響が発見されるかもしれない注目の成分「レスベラトロール」は赤ワインやブドウ、ピーナッツの渋皮などに含まれています。しかし、レスベラトロールは排出率が非常に高く、摂取しても体内での利用率は非常に少ないのです。そのため、最もレスベラトロールの含有量が多いといわれている赤ワインでさえ、「研究結果にあるような効果を感じるぐらいのレスベラトロールを摂取するためには毎日何十本もの量を飲む必要があります。このように食事から大量に摂取することが難しいため、「最近では効率的にレスベラトロールを摂取できるサプリメントが製造・販売され、健康へのアンテナ感度が高い人の間で関心を集めているのです。
おわりに
注目の栄養成分レスベラトロールを効率的に摂取するならサプリメントを活用しましょう。現在定義されているレスベラトロールの1日あたりの摂取許容量は60kgの人で450㎎ですから、この基準を超えないように摂取してください。まだまだ解明されていない部分もありますが、研究が進むにつれてますます注目されていく可能性が非常に高い成分です。ぜひ日常生活に上手に取り入れ、元気ではつらつとした生活に役立ててください。